善きおっさんの話

雨の中、自転車を押して歌を口ずさみながら峠の坂を下っていると、

目の前におっさんが立っていた。





（自転車を押していたのはブレーキをあまり削りたくないからだ。濡れてるとすぐブレーキが利かなくなるから。あとこぐのも疲れてたから。）







このおっさん、右手はポケットの中。

















あやしい…









そう思っていると、向こうが手招きした。











話を聞いてみると、どうやらパンクしたのだと思ったらしい。









こういう人がいるからいいんだよね。





知らない他人を助けようとする勇気が

旅人ほか色んな人達の力になる。





こんな人達がたくさんいれば、すごくいい世界になるんだろうなぁ。











で、雨の中歩いてるのが惨めに見えたのか、



2000円を手渡してきた。











いや、まさかですよ。







だって自転車こいでる時は収入0が当たり前じゃないですか。





こんな話聞いたことない。











せっかくなので、ありがたく貰いました。









ありがと、おっさん。ナイスミドル。











これでラーメンでも食べな って言ってたけど、

頭が少し痛かったのでホテル代の足しにした。















それで、そのホテルなんだけど、

6000円もすんの。







でも、田舎で他に泊まるとこは無いらしい。









カウンタで悩んでると、

今度はその従業員のおっさんが少し値引きしてくれた。









とは言っても、500円だけだけど。









でも 嬉しかった。







しかも、弁当までくれたからなおのこと。











今度からどこかに泊まる時は値引き交渉することにしようか。